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抗セントロメア抗体
著者: 奥村伸生1 亀子光明1
所属機関: 1信州大学医学部附属病院中央検査部
ページ範囲:P.70 - P.71
文献購入ページに移動[1]抗セントロメア抗体とは
抗セントロメア抗体(anticentromere antibody;ACA)は,1980年Moroi1)らにより報告された抗核抗体の一つである.従来用いられてきたマウスやラットの肝・腎切片などの核を抗原とする間接蛍光抗体(IFA)法による抗核抗体検査では,homogeneous(均質),speckled(斑紋),shaggy(辺縁),nucleolar(核小体)型の4型に分類されていた.ところが,ヒトの培養腫瘍細胞の核を抗原として用いるようになって発見されたACAは,静止期の細胞核では培養細胞の染色体数を超えない数の特異な斑紋(図1-A)を示し,discrete speckled(dis. sp.;散在性斑紋)型と呼ばれている.一方,分裂期の細胞においては,染色体の動きに応じた染色像が認められる(図1-A,長・短矢印).
ACAは染色体塗抹標本上での検討において,各染色体のセントロメア(動原体)またはキネトコアといわれる部分に存在する一対のほぼ円形の抗原と反応することから名づけられた(図1-B,図2).抗核抗体検査での静止期,分裂期細胞の蛍光染色パターンおよび染色体塗抹標本での染色像から,ACAと反応する抗原は染色体が存在しない静止期の細胞核中にも存在しており,染色体が形成される分裂期においてはそれぞれ2個に複製され染色体セントロメア部分に一対となって付着していると思われる2).この抗原は電顕による観察では三層構造をとり,染色体性マイクロチューブ(紡錘糸など)の形成に関与していると考えられている2).Moroiら1)は各種酵素処理や吸収操作により,ACAの対応抗原はセントロメア部分のDNA(またはクロマチン)に固着する非ヒストン性の蛋白質であろうと推測している.一方,EarnshawとRothfield3)はニトロセルロース膜にWestern blottingした,SDS-PAGEで分離したHela細胞の非ピストン性染色体骨格成分とACA陽性患者血清を反応させることにより,ACAは分子量17000,80000,140000の3種類の蛋白質を抗原とすることを明らかにしている.
抗セントロメア抗体(anticentromere antibody;ACA)は,1980年Moroi1)らにより報告された抗核抗体の一つである.従来用いられてきたマウスやラットの肝・腎切片などの核を抗原とする間接蛍光抗体(IFA)法による抗核抗体検査では,homogeneous(均質),speckled(斑紋),shaggy(辺縁),nucleolar(核小体)型の4型に分類されていた.ところが,ヒトの培養腫瘍細胞の核を抗原として用いるようになって発見されたACAは,静止期の細胞核では培養細胞の染色体数を超えない数の特異な斑紋(図1-A)を示し,discrete speckled(dis. sp.;散在性斑紋)型と呼ばれている.一方,分裂期の細胞においては,染色体の動きに応じた染色像が認められる(図1-A,長・短矢印).
ACAは染色体塗抹標本上での検討において,各染色体のセントロメア(動原体)またはキネトコアといわれる部分に存在する一対のほぼ円形の抗原と反応することから名づけられた(図1-B,図2).抗核抗体検査での静止期,分裂期細胞の蛍光染色パターンおよび染色体塗抹標本での染色像から,ACAと反応する抗原は染色体が存在しない静止期の細胞核中にも存在しており,染色体が形成される分裂期においてはそれぞれ2個に複製され染色体セントロメア部分に一対となって付着していると思われる2).この抗原は電顕による観察では三層構造をとり,染色体性マイクロチューブ(紡錘糸など)の形成に関与していると考えられている2).Moroiら1)は各種酵素処理や吸収操作により,ACAの対応抗原はセントロメア部分のDNA(またはクロマチン)に固着する非ヒストン性の蛋白質であろうと推測している.一方,EarnshawとRothfield3)はニトロセルロース膜にWestern blottingした,SDS-PAGEで分離したHela細胞の非ピストン性染色体骨格成分とACA陽性患者血清を反応させることにより,ACAは分子量17000,80000,140000の3種類の蛋白質を抗原とすることを明らかにしている.
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