マスターしよう検査技術
検査室における滅菌・消毒および処理法
著者:
菅野治重1
久保勢津子1
石山尚子1
所属機関:
1千葉大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1317 - P.1322
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臨床微生物検査室では,検体から伝染病菌を含めた強毒性の菌種が分離される可能性が常にあるため,臨床検査技師は職務上,消毒法・滅菌法に精通している必要がある.ここでは,検査材料,培養後の分離・同定用培地,その他各種の検査に使用する機器や器具などの滅菌法と,検査技師自身の手指の消毒について解説する.手袋の着用など業務上の常識として厳守すべき事項もあるが,手指の消毒では最近は抗菌剤と同様に消毒剤にも耐性を示す菌種が増加しており,広範な菌種を取り扱う検査室では現在比較的安全性が高い,エタノールとヨード系を中心にした消毒剤の選択が望ましい.クロルヘキシジンには従来からPseudomonascePacia, Flavobacterium meningosepticumなどが耐性菌種として有名であったが,最近はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)にも耐性株の報告がある.消毒剤には廃棄処理の問題で使用が制限される薬剤もあるが,結核菌に対してはクレゾール石鹸はまだ必要である.ドラフトの有無など設備の違いや,焼却を含め廃棄物処理を内部で行っている施設と外注している施設があるなど,検査室間でも実情が大きく異なってきている.