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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻10号

1989年09月発行

文献概要

トピックス

S-100蛋白の免疫組織化学における有用性

著者: 福田利夫1 中島孝1

所属機関: 1群馬大第二病理

ページ範囲:P.1344 - P.1345

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 S-100蛋白は脳特異蛋白として,1965年にMooreらによってウシの脳から分離され,飽和(100%)硫安に溶解することからS-100蛋白と命名された.その生体における機能は現在に至っても明らかにされていないが,カルモジュリンと同類のカルシウム結合能を有していることが知られている.
 生化学的にはそれぞれ分子量約10kDaのα鎖とβ鎖の2種類のサブユニットから成り,S-100a(α鎖,α鎖),S-100a(α鎖,β鎖),S-100 b(β鎖,β鎖)の3種類が区別されている.初期には神経組織に特異的に存在するという点が強調され,他の神経特異蛋白であるneuron-specific enolase(NSE),glial fibrillary acidicprotein(GFAP)とともに脳腫瘍などの神経系組織の診断や研究に用いられてきたが,その後,神経以外の諸組織に広範囲に分布することが明らかにされてきている.S-100蛋白は通常のホルマリン固定・パラフィン切片で染色が可能であり,現在では神経系を含めた種々の腫瘍の診断,検索に用いられている.最近では各サブユニットに対する特異抗体も使用されるようになってきたが,その診断的有用性については確定していないので今回は割愛したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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