icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻11号

1989年10月発行

文献概要

検査ファイル 項目

レチノール結合蛋白

著者: 奥野正隆1 金井正光2

所属機関: 1岐阜大学医学部臨床検査医学講座 2信州大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.1426 - P.1427

文献購入ページに移動
[1]代表的測定法と原理
 レチノール結合蛋白(retinol-binding protein:RBP)は血漿中レチノールの特異的輸送蛋白であり,1968年Kanaiらにより報告1)されて以来,代謝経路・臨床的意義につき多くの実りある解明が成されてきた2〜4).RBPは分子量21kDaの低分子蛋白であり,主に肝で合成され,肝実質細胞内でレチノールと1:1結合し,分泌される.血中ではさらにTTR(transthyretin;旧名prealbumin)と1:1結合することにより,分子量76kDaの複合体を形成し存在している.しかし,末梢の標的細胞にレチノールを渡した後,RBPはTTRとの結合性を失って急速に腎糸球体から原尿へと排泄され,尿細管で再吸収を受けて分解されるため,血中半減期は約14時間と短くrapid turnover proteinとしての性格を有する.このようにRBPはその特異な代謝動態を有し,単にビタミン研究のみならず,肝胆道系および腎疾患,栄養学的指標として臨床の場で注目されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?