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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻11号

1989年10月発行

文献概要

トピックス

CA 50

著者: 増田博1 尾関恒雄2

所属機関: 1遠賀礒部病院内科 2産業医大第三内科

ページ範囲:P.1443 - P.1444

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 CA 50は,Lindholmら1)により大腸癌由来の培養細胞(Colo-205)を免疫原として得られたモノクローナル抗体C-50が認識する腫瘍関連抗原である.この腫瘍マーカーの上昇は欧米でも日本でも膵癌患者の約80%,また胆道系癌患者の約70%と高頻度に認められるのに対して,大腸癌患者での上昇頻度はこれらより低い.
 この物質は糖脂質に属し,図に示すようにその糖質部分は2種類の糖鎖から成る.その中の1種はCA19-9の糖鎖と同じく,ルイスA型(Lea)物質の糖鎖の末端にシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)が結合した構造を有し,他の1種の糖鎖はシアロシルラクトテトラオースと呼ばれ,I型ラクトサミン(Galβ1→3GlcNAc)の繰り返し構造の末端にシアル酸が結合した構造,すなわちCA 19-9の糖鎖末端から3番目のN-アセチルグルコサミンからフコースの結合を欠いた構造を有している2).これらの糖鎖のガラクトースとシアル酸との結合反応の触媒をしている酵素はシアリルトランスフェラーゼであり,またN-アセチルグルコサミンとフコースとの結合反応の触媒をしている酵素はGlcNAc4-フコシルトランスフェラーゼである.したがって,生体内で後者の酵素活性が低くても,前者の酵素活性が十分であれば,CA 50の2種の糖鎖抗原のうちのシアロシルラクトテトラオースは生合成され,抗CA 50モノクローナル抗体と反応する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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