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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻12号

1989年11月発行

文献概要

技術講座 血液

血小板抗体の検査法とその意義

著者: 松尾武文1 近平佳美2

所属機関: 1兵庫県立淡路病院 2兵庫県立淡路病院検査部

ページ範囲:P.1487 - P.1491

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サマリー
 免疫機序が関係している血小板減少症に出現する血小板抗体として,①同種抗体,②自己抗体,③免疫複合体の3種がある.同種抗体が出現する血小板減少症は,反復して血小板輸血を実施しているときにみられる.また新生児血小板減少性紫斑病の際に出現するのも同種抗体である.自己抗体が出現する血小板減少症として,特発性血小板減少性紫斑病が有名である.この場合には,血小板数と自己抗体の濃度とは逆相関しており,抗体を測定することによって治療効果の判定ができる.膠原病であるSLEでは,自己抗体と免疫複合体が出現し,血小板減少が起きるとされている.免疫複合体が出現すると血小板のFcレセプターに結合し,血小板の貧食や崩壊が起こる.薬剤起因性血小板減少症では,薬剤と蛋白の結合体に対する抗体が産生され,そのとき出現する免疫複合体が,血小板減少の原因とされている.
 免疫機序による血小板減少症の診断には,血小板抗体の測定が行われている.測定法には種々の方法が用いられているが,血小板表面に結合している免疫グロプリンを定量する直接的ELISA法が一般的である.また血清中の抗体を正常血小板に結合させ,結合した免疫グロブリン量を測定する間接的ELISA法も普及しており,血小板数の少ないときの抗体検査や薬剤起因性血小板減少症の診断に用いられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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