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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻13号

1989年12月発行

文献概要

けんさ質問箱

尿沈渣中のヒトポリオーマウイルス感染細胞について

著者: 古市佳也1 T生

所属機関: 1京都市立病院臨床検査科

ページ範囲:P.1645 - P.1646

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問 尿沈渣中のヒトポリオーマウイルス(human polyomavirus)感染細胞の形態的特徴をお教えください.当院では,Sternheimer-Malbin染色を日常用いていますが,本染色法でも鑑別は可能でしょうか.また,Sternheimer染色ではどのような特徴を示すのかも,お教えください.(大阪府・T生)
答 ヒトポリオーマウイルスはパポバウイルス(Papovavirus)群に属する直径約40nmの小型球形のDNAウイルスであり,1971年にヒト由来のBKウイルスとJCウイルスが相次いで分離された.BKウイルスは腎移植患者の尿管狭窄や尿細管間質性腎炎の原因に,JCウイルスは進行性多巣性白質脳症(PML)の原因にそれぞれなっている.最近の報告ではAIDS患者の脳組織からもJCウイルスが分離・同定されている.ヒトはこれらのウイルス感染を主に幼少期に受けるが,大部分は無症候性で,成人の70〜80%が抗体を有している.また体内に侵入したウイルスは免疫能の低下を契機に再活性され,尿中にウイルスおよびその感染細胞が出現するものと考えられている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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