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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻3号

1989年03月発行

トピックス

トロンボスポンジン

著者: 諸井将明1

所属機関: 1自治医大生化学

ページ範囲:P.284 - P.285

文献概要

 トロンボスポンジン(thrombospondin;TS)は1971年,Baenzigerらによりトロンビンの作用によって血小板より生成される蛋白として初めて同定され,thrombin sensitive protein(TSP)と命名された.TSはその後,グリコプロテインIgあるいはグリコプロテインGなどとも称されるが,これらの名称がこの蛋白の性質をよく表しているとはいえないことから,TSへと名称の統一が図られ,現在に至っている1)
 TSは分子量42万の糖蛋白で,ジスルフィド結合によって結ばれた分子量約14万の同一のポリペプチド鎖3本から成っている.TSのアミノ酸配列構造はクローン化されたcDNA構造より決定された2).これによると,TSの各サブユニットはC端側に分子量約3万,N端側に約4万のTSに固有のアミノ酸配列が存在しており,その中間に3種の繰り返し構造が連なった構造を持っている.TSにはコラーゲンなどの蛋白に対して結合活性を持っているが,TSのプロテアーゼ切断断片の活性を検討することにより,N端の分子量約3万のペプチド部分にヘパリン結合部位と血小板凝集に関与する部分が,C端の分子量約7万の部分にCa結合部位ともう一つの血小板凝集に関与する部分が,中間の部分にコラーゲン,ラミニン,フィプロネクチン,フィブリノーゲン,プラスミノーゲンなどに対する結合部位がそれぞれ存在することが推定されている.このようにTSはフィプロネクチンなどと同様にモジュール構造をとっていると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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