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ST部分(ST segment)
著者: 坂本三哉1
所属機関: 1北海道大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.402 - P.403
文献購入ページに移動a.電気的現象として(図1)
ST部分は心筋全体が脱分極した後の電気的非活動性の時期である.二重層説(electric double layer)によれば,心室筋の興奮前の静止状態では細胞内の電位は細胞外より負の状態にある(QRSの前).いったん心室筋が興奮すると,細胞内外の電位が逆転して細胞内外の分極の方向が逆になり,終局的に心室全体が分極を終了すると細胞内が正の電位となり,心筋は静止状態となる(ST部分).このように細胞内外では正と負は逆転するが,両者はともに静止期であり,外界との電位はいずれも0である.したがって,ST部分は病的状態でない限り両者(QRS前とST部分)はいずれも等電線=基線(base line)上に位置する.しかし,後記するように部分的に再分極が開始されていると,必ずしも等電位上に位置しないこともある.
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