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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻4号

1989年04月発行

文献概要

トピックス

エンドセリン

著者: 宮内卓1 後藤勝年1 眞崎知生1

所属機関: 1筑波大・薬理学

ページ範囲:P.414 - P.415

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 近年,血管内皮細胞において,血管壁の張度(トーヌス)の調節に重要な種々の物質が産生されていることが判明してきた.特に,1980年のFurchgottらによる内皮細胞由来血管弛緩因子(endothelium-derived relaxing factor;EDRF)の発見1),それに次ぐ1982年のVanhoutteらによる内皮細胞由来血管収縮因子(endothelium-derived contracting factor;EDCF)の発見2)は,多くの研究者が内皮細胞に目を向ける転機となった.その後,さまざまな刺激により内皮に依存した血管弛緩収縮反応が起こること,そのメディエーターであるEDRF,EDCFが単一の物質ではなく複数存在することなどが証明されてきている.
 1985年,Highsmithらはウシ大動脈内皮細胞の培養上清中にブタ,ウシ,イヌの冠動脈に対する収縮活性を有する,分子量約8500のペプチド性因子が放出されてくることを証明し,EDCFの一つとして提示した.ほぼ同時期に,O'Brienらも内皮細胞培養上清中に遊離してくるペプチド性のEDCF(分子量約3500)を報告している3).われわれもブタ大動脈内皮細胞の培養によりこれらの報告を追試し,さらにこの血管収縮物質の単離・構造決定を行い,エンドセリン(endothelin)と命名した4).エンドセリンは,分子内に2個のS-S結合を有するアミノ酸21残基から成る,分子量約2500のペプチド(図1)で,既知の哺乳類由来のものには,構造上類似のものが見当たらない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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