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感染症の検査法 Ⅰ 最近話題の感染症病原微生物 [1]細菌
1 グラム陽性菌
著者: 紺野昌俊1
所属機関: 1帝京大学医学部臨床病理
ページ範囲:P.540 - P.544
文献購入ページに移動今日の《臨床細菌検査》
今日のように抗生物質にさらされ,変異を重ねてきた細菌においては,virulence(病原性の程度のことをいう)は一般には強くなく,宿主との一対一という関係で発症してくるというような病原細菌は多くない.それよりも,生体内に共棲している細菌が,なんらかの条件によって抑制されたり増殖したりすることによって発症する場合が多い.つまり今日の《臨床細菌検査》においては,生体内の菌叢バランスを考えたうえで,従来「病原性は低い」といわれていた細菌であっても,検出されればその意義を考えることが必要である.したがって,検出された細菌については,どの菌は報告する必要がないとか,この菌は《正常細菌叢》であるなどというようなことが,検査技師側の判断で取捨選択されるべきではなく,本来は検出されたすべての細菌について半定量的に報告されるのが正しい.もちろん,主治医のすべてが感染症の専門家ではないから,検出菌の分離状況を正確に伝えても,まったく理解を示さない主治医もいる.それに対応するためには,検査技師は,適当な助言をいつも用意しておくことが大切である.
今日のように抗生物質にさらされ,変異を重ねてきた細菌においては,virulence(病原性の程度のことをいう)は一般には強くなく,宿主との一対一という関係で発症してくるというような病原細菌は多くない.それよりも,生体内に共棲している細菌が,なんらかの条件によって抑制されたり増殖したりすることによって発症する場合が多い.つまり今日の《臨床細菌検査》においては,生体内の菌叢バランスを考えたうえで,従来「病原性は低い」といわれていた細菌であっても,検出されればその意義を考えることが必要である.したがって,検出された細菌については,どの菌は報告する必要がないとか,この菌は《正常細菌叢》であるなどというようなことが,検査技師側の判断で取捨選択されるべきではなく,本来は検出されたすべての細菌について半定量的に報告されるのが正しい.もちろん,主治医のすべてが感染症の専門家ではないから,検出菌の分離状況を正確に伝えても,まったく理解を示さない主治医もいる.それに対応するためには,検査技師は,適当な助言をいつも用意しておくことが大切である.
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