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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻6号

1989年05月発行

文献概要

感染症の検査法 Ⅰ 最近話題の感染症病原微生物

[7]寄生虫,原虫

著者: 大友弘士1

所属機関: 1岐阜大学医学部寄生虫学教室

ページ範囲:P.581 - P.585

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はじめに
 かつてわが国に蔓延していた回虫症,鉤虫症などの腸管寄生虫症,あるいは風土病的に流行していた日本住血吸虫症やバンクロフト糸状虫症などはすでに著減もしくは絶滅に近い状態にまでコントロールされたが,それに伴って寄生虫症全般に対する関心の低下も招いたといえよう.しかし,これまでの寄生虫症もその多くが根絶されるには至っていないほか,最近における生活様式や食生活の変化に加えて人為的,生態的な感染要因の多様化とともに再流行の兆しがみられるものもあるので,注意を要する.
 一方,近年における寄生虫学の進歩は免疫学のそれと相まって,従来の概念では理解できなかったような寄生虫症の存在も明らかにし,その診断を可能にした.さらに,最近は宿主の免疫不全に乗じて発症する寄生虫症や海外由来の寄生虫症も数多く登場し,その態様はきわめて複雑になっている.しかし,このような疾患の全貌を紹介することは不可能である.そこで本稿では診断と治療,疫学的な観点から緊急の対策が必要な重要性の高い疾患を中心に人畜共通寄生虫症,日和見感染寄生虫症,輸入寄生虫症に類別して,その動向と感染要因などについて概説してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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