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感染症の検査法 Ⅱ 感染症各論
[8]外科領域感染症
著者: 奥沢星二郎14 相川直樹2 石引久弥3
所属機関: 1国立東京第二病院外科 2慶応義塾大学医学部救急部 3慶応義塾大学医学部外科 4国立東京第二病院救命センター
ページ範囲:P.647 - P.650
文献購入ページに移動われわれを取り囲む環境には,生体に対して病原性を有する細菌,ウイルス,真菌などの多くの微生物が存在する.病棟や手術室においても空中落下菌の問題がある.また生体には皮膚や消化管など,至るところに常在細菌叢が形成されている.特に下部消化管にはグラム陰性菌としてBacteroides(バクテロイデス)やEscherichia coli(大腸菌)などの複数の菌種で構成された常在細菌叢がある.
正常の皮膚や粘膜はこれらの微生物の侵入を阻止する局所的な防御機構を構成しているが,外傷や手術などの外科侵襲によってこの機構が破綻すると,環境に存在する微生物や損傷部位における常在細菌叢由来の汚染菌の侵入によって感染症が発生する危険がある(図1).局所の循環障害や異物の存在は微生物の増殖を促進する.
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