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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻6号

1989年05月発行

文献概要

感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論 [8]新しい検査法

2)核酸を使った細菌の同定法

著者: 江崎孝行1

所属機関: 1岐阜大学医学部微生物学講座

ページ範囲:P.909 - P.911

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 細菌の同定は,「分離された菌株が既に報告されたどの菌種に近いかを決める作業」と要約できる.そのために私たちは菌株の持つ形態や生化学性状を調べ,分離菌とある標準株が完全に一致した場合に分離株に菌種名を与えてきた.しかし実際に菌種の同定を行ってみると,分離された菌株がすでに報告された菌種と完全に一致することはむしろ少ないといってよい.
 菌株の糖分解性状はDNAを構成している塩基が一つ変化するだけでわかるが,500万個あるDNAの全塩基から見ればその変化は1/500万の変化にすぎない.性状を100種類調べるより,細菌の全DNAを調べたほうがより正確な同定ができるわけである.最近,DNAハイブリダイゼーションを使ってウイルスやChlamydiaの検出や同定を試みることが盛んに行われるようになった.細菌学の分野でも,病原性の強い菌種や毒素産生株を対象にDNAプローブが研究室では使われるようになってきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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