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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻7号

1989年06月発行

文献概要

トピックス

サイクロトロンの医学への応用

著者: 佐々木康人1

所属機関: 1群馬大核医学

ページ範囲:P.1014 - P.1015

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1.サイクロトロンの原理と応用分野
 陽子(proton;p),重陽子(deuteron;d),α粒子などの荷電粒子に大きな運動のエネルギーを与える装置を加速器という.荷電粒子を原子核の中に撃ち込んで核反応を起こさせるのに用いる.1930年にE. O. Lawrenceが発明したサイクロトロンは,少しずつ何回も加速を繰り返してエネルギーを与える方式の加速器である.大きな電磁石の間に二つのD字型をした加速箱(ディー)を置いた構造をしている.
 加速箱中央付近に粒子を送り込み,加熱フィラメントで放電を起こしてイオン化する.ディー内の荷電粒子は磁場に垂直な面内で円軌道を描いて運動する。一方のディーから出て他のディーに入るときに,二つのディー間にかけた電圧により加速される.初めは遅く小さな円を描いていた荷電粒子の軌道半径は,加速が進むにつれて大きくなる.しかし,磁場の強さが一定であれば,一回転に要する時間は半径に無関係に一定である.したがって,ディー電極間に回転周期に適合する周波数の交流電圧をかけておけば,粒子は連続的に加速される.周辺に到達した荷電粒子に偏向電場を加えて,加速された粒子を標的箱(target box)に導く.例えば,窒素ガスのターゲットに15MeV程度に加速した陽子を当てるとα線が出て11Cというラジオアイソトープ(RI)ができる.14N(p,α)11Cと表示される反応である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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