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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻8号

1989年07月発行

文献概要

トピックス

ペニシリン低感受性肺炎球菌

著者: 黒崎知道1

所属機関: 1千葉市立海浜病院小児科

ページ範囲:P.1101 - P.1103

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 従来,肺炎球菌(Pn)は,Penicillin G(PCG)に良好な感受性があり,Pnが分離された場合,感受性検査は不要であるとさえいわれていた。しかし,1977年に南アフリカでPCGを含む多剤耐性Pnによる全身感染症が流行し,小児の死亡率が4割を超え,各国で注目されてきている.
 最近の南アフリカのPCG低感受性Pnの分離率は,都会に住む小児で14.2%,農村に住む小児で19.2%であると報告されている.わが国でも長崎大学,順天堂大学でPCG低感受性Pnが分離されており,われわれの検討でも,PCG低感受性Pnは1984年2.7%,1985年5.4%,1986年3.5%,1987年10%と漸増傾向にある.しかも,明らかな起炎菌(耳漏由来株)でのPCG低感受性Pnは,1987年より多く分離されるようになってきている.時を同じくして,1987年11月,東京(帝京大学小児科),岡山(国立岡山病院小児科)からPCG低感受性Pnによる髄膜炎の報告があり,さらに1988年,千葉県下で2例のPCG低感受性Pnによる髄膜炎が経験され,にわかに本菌のPCG感受性に注意が必要となってきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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