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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻8号

1989年07月発行

文献概要

トピックス

カルバペネム耐性緑膿菌

著者: 井上松久1

所属機関: 1群馬大薬剤耐性菌実験施設

ページ範囲:P.1103 - P.1104

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 現在知られているβ-ラクタム剤は,その化学構造上の基本骨格によりペニシリン系(ペナム),セファロスポリン系(セフェム),β-ラクタム環に隣接する部位に含イオウ五員または六員の環状構造を持たない単環β-ラクタム(モノバクタム)と呼ばれる3種類に加え,さらに,セフェム系薬剤は六員環Sが0(オキサセフェム)やC(カルバセフェム)に置換した化合物,ペナム系薬剤も2位が二重結合となったペネム,SがC(カルバペネム)やO(オキサペネム)に置換した化合物に分類されている.カルバペネムの基本骨格は,ペニシリン系薬剤に類似したβ-ラクタム環と五員環を有するが,4位に炭素を持つ点と2位に二重結合を持つ点がペニシリン系薬剤と異なる点であり,現在臨床応用されているイミペネムはその代表的薬剤である.
 イミペネムはチェナマイシンを化学修飾し,物性的に安定性を改良した半合成品である.イミペネムは,黄色ブドウ球菌をはじめとしたグラム陽性菌,大腸菌,サイトロバクター,セラチア,プロテウス属などの腸内細菌,緑膿菌やアシネトバクターなどのブドウ糖非発酵菌に対して発揮する.しかし,フラボバクテリウムやマルトフィリアなどに対しては,他のβ-ラクタム剤同様,その抗菌力は弱い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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