文献詳細
文献概要
明日の検査技師に望む 微生物学の分野から
病原細菌より常在細菌叢の追求を!!
著者: 紺野昌俊1
所属機関: 1帝京大臨床病理
ページ範囲:P.1219 - P.1219
文献購入ページに移動 理想はいくらでも言い得るが,実現可能な明日へのこととなると,現実の「細菌検査室」から出発しなければならない.今,敢えて「細菌検査室」と表現したが,この言葉も問題である.何故ならば,今,医療の現場で必要としている感染情報は,病原細菌だけではなく,ウイルスからクラミジア,真菌に至る広範な微生物を含んでいるからである.しかも,医師の多くは,患者に直接関連する「病原性微生物」そのものをdirectlyに見付けて欲しいという,極めて短絡的な願望を持っている場合が多い.
医療の進歩は,その片側で寝た切り老人や抗癌剤や免疫抑制療法等,日和見感染の弱毒菌をすら選定することが困難な感染症をも生み出した.このように明らかな病原細菌が見出されない時には,検査技師は,一体病棟の医師に何を報告すればよいのであろうか.単に「病原性を疑わせる細菌は見当りませんでした」と報告するだけでよいのだろうか.むしろ,ヒト細菌叢の乱れを諄々と説き,その意味する所を主治医に伝えなければならないのではなかろうか.
医療の進歩は,その片側で寝た切り老人や抗癌剤や免疫抑制療法等,日和見感染の弱毒菌をすら選定することが困難な感染症をも生み出した.このように明らかな病原細菌が見出されない時には,検査技師は,一体病棟の医師に何を報告すればよいのであろうか.単に「病原性を疑わせる細菌は見当りませんでした」と報告するだけでよいのだろうか.むしろ,ヒト細菌叢の乱れを諄々と説き,その意味する所を主治医に伝えなければならないのではなかろうか.
掲載誌情報