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文献詳細

雑誌文献

検査と技術17巻9号

1989年08月発行

文献概要

ザ・トレーニング

血栓性疾患における検査の進めかた

著者: 山元泰之1 池松正次郎1

所属機関: 1東京医科大学臨床病理学教室

ページ範囲:P.1237 - P.1240

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はじめに
 血栓性疾患における診断には,血管撮影のごとく直接的情報を得る画像診断と,血液検体における凝血学的検査診断があるが,ここでは主に血小板,凝固検査の進めかたについて解説したい.
 Virchowの唱えた血栓症成立における3要素(血管損傷,血流停滞,血液凝固能亢進)のうち血管の血栓症に果たす意義は非常に大きいと考えられている.すなわち,局所における反応の場として,血管内皮細胞にあるヘパリン様物質(HLS),トロンボモジュリン(TM),フォン・ウィルブランド因子(vWF),組織プラスミノゲンアクチベーター(tPA),プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)などが関与しており,3要素の中で最も重要なものとされる.しかしながら,血管の変化を的確にとらえる臨床検査は,現時点ではほとんどないと考えてよく,血液検体における凝血学的変化を主な指標とすることになる.血栓性疾患はその時相により①血栓準備状態,②血栓形成期,③血栓溶解期に分けられ,そのおのおのの時期で検査結果および解釈は大きく異なるので注意が必要である.また,血栓の存在部位,血栓の新鮮度,血栓の大きさ,広がりなどに大きな違いがあることや,採血された血液は血栓局所の反応が希釈された全身血であることを考えると,正常に血液中に存在する蛋白や酵素の増減を見ていくだけでは限界があることにも留意したい.得られた結果の解釈に当たっても,血栓の存在による変化なのか,血栓の原因となっているものなのかの判断も難しく,結局は諸検査および症状などからの総合判断にゆだねられるべきであることを忘れないようにしたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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