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文献詳細

雑誌文献

検査と技術18巻1号

1990年01月発行

文献概要

トピックス

HIV type 2

著者: 栗村敬1

所属機関: 1烏取大・ウイルス学

ページ範囲:P.88 - P.88

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 1981年,米国において若い男性同性愛者の中にカポジ肉腫やニューモシスチス・カリニ肺炎が多発することの報告があり,エイズ(後天性免疫不全症候群,acquired immunodeficiency syndrome)が注目を浴びることになった.1983年,1984年になり,その原因とされるウイルスHIV type 1(HIV-1)の分離が相次いで行われた.WHOが世界的規模でエイズ対策をとるべきだと提唱した1986年に,西アフリカ居住者に関連があると思われるHIV-2が報告されることになった.人間のエイズの原因ウイルスが少なくとも2種あることになった.このことはいくつかの点でわれわれの大きな関心を引くものである.①HIV-1とHIV-2はどれくらい違うのか,②両ウイルスの起源はどう考えられるのか,③両ウイルスによるエイズの症状に差があるのか,④検査の面でどのような問題があるか,などである.
 両ウイルスとも9個の遺伝子から成るゲノムを持っている.gag,pol,env,rev,tat,nef,vpr,vifという機能を同じとする8個の遺伝子のほかに,お互いに持っていない遺伝子としてtype 1はvpuを,type 2はvpxを持っていることがわかった.これらの各9個の遺伝子がLTRという配列に挟まれて存在しているのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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