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文献詳細

雑誌文献

検査と技術18巻12号

1990年11月発行

文献概要

検査ファイル

〈用語〉ループスアンチコアグラント

著者: 高松純樹1 利見和夫1

所属機関: 1名古屋大学医学部第一内科

ページ範囲:P.1516 - P.1517

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[1]ループスアンチコアグラント
 凝固反応系に後天的に抗体が産生される場合には,ある特定の凝固因子に対する場合と凝固の反応過程に対する場合がある.前者は既知のすべての因子に対する場合が知られており,特に第VIII因子に対する抗体は臨床的に重要である.一方,後者はループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant)がその代表的なものであり,ある特定の因子に対する抗体ではなく,凝固過程に必須であるリン脂質に対するものである.
 これは1972年にRapaportらによって命名された概念であるが,もともとは1952年にConleyとHartmannが全身性エリテマトーデス(SLE)の患者に見いだしたことからこの名前がついた1).近年ではSLE以外にも,重症感染症,腫瘍性疾患,薬剤(なかでも長期に大量のフェノチアジン系の薬剤服用者では約30%にみられる)や後天性免疫不全症候群(AIDS),SLE以外の免疫疾患にも見いだされる(表1).また非常にまれではあるが,家族性にみられることもある.そのためループスアンチコアグラントというには不適当であり,現在ではlupus-like anticoagulant(LLA)と呼ぶほうがふさわしい.これらの患者ではSLEの症状は呈さないが,抗核抗体が陽性を示すことが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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