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健常勤務者の尿中血小板
著者: 重田英夫1
所属機関: 1千葉県がんセンター臨床検査部
ページ範囲:P.1526 - P.1527
文献購入ページに移動 血小板が尿中に出るという事実は近年に至るまでほとんど知られず,興味も持たれず,したがって尿中血小板に関する研究は著しく遅れていた.その理由は,①他の細胞と異なって核がなく,容積が小さく,②各種のわずかな刺激で活性化して変形,凝集,融合するためにその同定が困難であり,③血小板に特異的な細胞化学的染色法がなかった,などである.しかし,近年,各種の病態あるいはその進展に対する血小板や血小板由来諸因子の関与がしだいに明らかとなり,また,血小板検索のための手段も透過または走査電顕,免疫染色法などが利用できるようになったため,にわかに血小板に対する関心が高まってきた.
もともと,血小板が尿路系の血管壁を通して尿中に逸脱するためには,血管壁になんらかの障害が存在するという前提が必要のように思われる.血小板の容積(2〜20fl,時には50〜70fl)から考えると,健常人にもわずかにみられる赤血球の尿中逸脱に比し,はるかに小さい血管壁の間隙(障害部)を通り抜けて血小板あるいは血小板塊の逸脱が可能となるはずである.
もともと,血小板が尿路系の血管壁を通して尿中に逸脱するためには,血管壁になんらかの障害が存在するという前提が必要のように思われる.血小板の容積(2〜20fl,時には50〜70fl)から考えると,健常人にもわずかにみられる赤血球の尿中逸脱に比し,はるかに小さい血管壁の間隙(障害部)を通り抜けて血小板あるいは血小板塊の逸脱が可能となるはずである.
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