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バナジウムと腎不全
著者: 塚本雄介1
所属機関: 1北里大内科
ページ範囲:P.396 - P.397
文献購入ページに移動この元素が脚光を浴び始めたのは,近年になってからである.というのは,Vは半導体やセラミクスの材料として,また化学触媒としてあらゆるハイテク産業には欠かすことのできない希少金属となっているからである.希少金属といっても地球上では21番目に多い金属だが,鉱脈となるとアフリカなどに限られてくる.このため,この元素の価値は最近にわかに上昇している.ところがこのVが,実は生体反応の調節に極めて密接な関係があることが最近になって次々に明らかになってきたのである.その最初のきっかけは,1975年,Cantleyらが実験に用いたアデノシン三リン酸(ATP)に(Na++K+)-ATPaseの阻害物質が混入していることを突き止めたことにある1).そして,その正体がVであった.
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