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〈項目〉プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体(PIC)
著者: 高宮脩1
所属機関: 1信州大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.486 - P.487
文献購入ページに移動 プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体(PIC)は,線溶現象の主役を演ずる蛋白分解酵素プラスミン(Pm)とその特異的阻害物質α2-プラスミンインヒビター(α2PI)との複合体である.α2-プラスミンインヒビター・プラスミン複合体およびプラスミン・α2アンチプラスミン複合体はいずれも同義語として用いられる.
Pmは正常状態では酵素活性を持たない前駆体プラスミノゲン(PIg)として血中を循環しているが,プラスミノゲンアクチベーターの出現により活性化されて活性型酵素となる.循環血漿中では制御機構が優位であり,ほとんどのPmは即時にα2PIと複合体を形成し,失活する.大量のPmが生じた場合には不活化しない一部がフィブリノゲン,フィブリン,その他の凝固因子を分解する(一次線溶).また,血栓中ではフィブリン上で活性化したPmが,そこに架橋結合したα2PIの制御作用の制約のためフィブリン分解を進行させるが,直ちにα2PIにより失活する(二次線溶)(図1).したがって,血中で生じた遊離型のPmを検出することはほとんど不可能であり,α2PIとの複合体であるPICを測定することが血中のPmの動態,すなわち線溶活性を知るための指標となる.
Pmは正常状態では酵素活性を持たない前駆体プラスミノゲン(PIg)として血中を循環しているが,プラスミノゲンアクチベーターの出現により活性化されて活性型酵素となる.循環血漿中では制御機構が優位であり,ほとんどのPmは即時にα2PIと複合体を形成し,失活する.大量のPmが生じた場合には不活化しない一部がフィブリノゲン,フィブリン,その他の凝固因子を分解する(一次線溶).また,血栓中ではフィブリン上で活性化したPmが,そこに架橋結合したα2PIの制御作用の制約のためフィブリン分解を進行させるが,直ちにα2PIにより失活する(二次線溶)(図1).したがって,血中で生じた遊離型のPmを検出することはほとんど不可能であり,α2PIとの複合体であるPICを測定することが血中のPmの動態,すなわち線溶活性を知るための指標となる.
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