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文献詳細

雑誌文献

検査と技術18巻6号

1990年05月発行

文献概要

増刊号 血液・尿以外の体液検査法 資料

嚢胞を作る寄生虫症

著者: 澁谷敏朗1

所属機関: 1帝京大学医学部寄生虫学教室

ページ範囲:P.916 - P.920

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はじめに
 嚢胞とは,正常あるいは異常の,閉鎖された嚢状の構造物で,その内面は上皮に覆われ,内部に液状物を満たすものである.寄生虫による嚢胞の形成は条虫類(サナダムシ)のうち円葉目に属するものによる感染にだけ認められる.嚢胞はすべて,これらの条虫類の幼虫期に形成される.だから,ヒトが中間宿主となる場合に体内に嚢胞が形成されるのである.
 円葉目の条虫類は普通,ウシやブタのような脊椎動物,あるいは甲虫やノミのような節足動物のどちらかを中間宿主とし,条虫に感染したこれらの中間宿主を経口的に摂取することにより成虫が人体に感染をきたすことが多い.しかし,以下に記するごとくある種の条虫が幼虫期に人体寄生をきたし,各種臓器に嚢胞を形成する場合もある(表21).腸管内に条虫類の成虫が寄生して虫体や虫卵の排出がみられる状態と比較すると,寄生虫による嚢胞症は診断,治療が困難である場合が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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