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文献詳細

雑誌文献

検査と技術18巻7号

1990年06月発行

文献概要

トピックス

細胞傷害性T細胞クローン

著者: 井廻道夫1

所属機関: 1東京大学医学部第三内科

ページ範囲:P.1012 - P.1013

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 ウイルス感染細胞あるいは腫瘍細胞に対する免疫反応においては,細胞性免疫が主体をなし,細胞傷害性T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞がウイルス感染細胞あるいは腫瘍細胞の排除に重要な役割を果たしている.細胞傷害性T細胞は標的細胞の主要組織適合性抗原(MHC)と結合したウイルス抗原あるいは腫瘍抗原を特異的に認識し,標的細胞に結合して細胞傷害性を発揮する.したがって,細胞傷害性T細胞と標的細胞の間にMHCの一致がない場合には,細胞傷害は生じない.一方,NK細胞は,MHCの拘束を受けず,各種のウイルス感染細胞,腫瘍細胞を殺すが,その傷害活性は低く,ウイルス感染細胞,腫瘍細胞の排除は主として細胞傷害性T細胞により担われていると考えられている.
 T細胞は,T細胞成長因子であるインターロイキン2(IL-2)の存在下に,クローン化,長期培養が可能なことにより,細胞傷害性T細胞とその標的抗原の研究が,主としてMHCを容易に一致させうるマウスで進められてきたが,ヒトにおいては細胞傷害性T細胞と標的細胞のMHCを一致させることがしばしば困難なため,研究は進んでいない.しかしながら,ヒト末梢血のリンパ球の中にはわずかながらMHC非拘束性の細胞傷害性T細胞も存在し,PHAとIL-2の存在下でこのようなリンパ球をクローン化することが可能である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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