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文献詳細

雑誌文献

検査と技術18巻8号

1990年07月発行

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トピックス

インスリンレセプター異常症

著者: 牧野英一1

所属機関: 1千葉大学医学部第二内科

ページ範囲:P.1081 - P.1082

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 インスリンはグルコース代謝のみならず,蛋白質,脂質代謝にも必要であり,その不足により糖尿病が起こる.インスリンは細胞膜表面のインスリンレセプタターに結合し,グルコースの取り込みなどのインスリン作用を発揮する.インスリンレセプターは分子量135,000のαサブユニットと95,000のβサブユニットの四量体(α2β2)として存在し,αサブユニットにインスリンが結合するとβサブユニットのチロシンキナーゼ(蛋白質のチロシンをリン酸化する酵素)が活性化され,インスリン作用が伝達されると信じられている.最近インスリンレセプターcDNAがクローニングされ,さらにそのプロモーター領域および遺伝子構造も明らかにされ,インスリンレセプターの遺伝子レベルでの検索が可能となった.
 インスリンレセプターの異常により,インスリン作用が伝わらず,インスリン抵抗性糖尿病が起こる.これは著しいインスリン抵抗性と高インスリン血症および黒色表皮腫(皮膚の黒色化)を呈する症候群で,先天的にインスリンレセプターの減少するタイプAと,自己免疫疾患に伴ったインスリン受容体抗体によるタイプBに分類される.さらに,このタイプAの亜型として,インスリン結合の低下のみられないタイプCが見いだされた.これらの先天性インスリンレセプター異常症で,その遺伝子レベルでの異常が明らかにされたのは9例にすぎない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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