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文献詳細

雑誌文献

検査と技術18巻9号

1990年08月発行

文献概要

検査ファイル

〈用語〉糖鎖抗原

著者: 神奈木玲児1

所属機関: 1京都大学医学部臨床検査医学教室

ページ範囲:P.1222 - P.1224

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[1]概念
 糖鎖はさまざまな抗原性をもっている.図1に示すように,細胞の表層では糖鎖は脂質に結合した形(糖脂質〔glycolipid〕と呼ぶ)か,あるいは蛋白質と結合した形(糖蛋白質〔glycoprotein〕)で存在するのが普通である.これらが細胞の糖鎖抗原(carbohydrate antigen)の重要な担い手である.糖脂質も糖蛋白質も,脂質部分かまたは蛋白質部分が細胞膜に埋め込まれており,ここから細胞の外側に向かって糖鎖が生えている.どのような糖鎖も,図2に示すように,その構造は最もコア分子に近い部分から順に,母核構造,基幹構造,修飾構造の三つの部分に分けて考えることができる.糖脂質も糖蛋白質も,糖鎖と,脂質や蛋白質のごとき糖鎖以外のものが複合してでき上がっている分子なので,合わせて複合糖鎖(glycoconjugate)とも呼ばれる.生体内には,ほかに何も結合しないで糖鎖だけの形で存在しているもの(オリゴ糖,多糖)もあるが,これらは抗原としてはむしろさほど重要でない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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