文献詳細
文献概要
けんさアラカルト
体格と心電図
著者: 池田こずえ
所属機関:
ページ範囲:P.14 - P.14
文献購入ページに移動 心電図は,心臓の電気的活動を反映するものであるが,心臓の電気現象の変化,すなわち心臓起電力の変化のほかに,心臓と心電図電極との位置的関係の変化や,心臓を取りまく肺・筋肉・皮下脂肪・皮膚の電気伝導性の変化も影響する.したがって,体格の変化は,心電図に影響を及ぼすことがしばしばある.一般的にいってQRS平均電気軸は,やせ型の人では垂直位になり,肥満型の人では水平位になる傾向がある.また,年老いた女性などにしばしばみられるが,亀背などで,胸郭の前後径が増大している場合には,QRS電気軸は,前額面に対してほぼ垂直となってしまい,肢誘導では低電位差となるのに対し,胸部誘導での電位は正常範囲であることがある.これは,胸郭の変化による「見かけの低電位差心電図」と考えられる.
また,慢性肺気腫などで肺の過膨張のため横隔膜が下方へ偏位している場合は,それに伴って心臓の位置も下方へ偏位し,胸壁上の電位分布も下方へずれている.したがって,通常の胸部誘導V1〜V6の位置ではR波は減高し,S波は深くなっている.この場合に,電極の位置を1〜2肋間下につけると,R波は高くなり,正常とほぼ変わらない大きさになる(図).この場合,横隔膜低位による「見かけのR波減高」と考えられる.
また,慢性肺気腫などで肺の過膨張のため横隔膜が下方へ偏位している場合は,それに伴って心臓の位置も下方へ偏位し,胸壁上の電位分布も下方へずれている.したがって,通常の胸部誘導V1〜V6の位置ではR波は減高し,S波は深くなっている.この場合に,電極の位置を1〜2肋間下につけると,R波は高くなり,正常とほぼ変わらない大きさになる(図).この場合,横隔膜低位による「見かけのR波減高」と考えられる.
掲載誌情報