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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻1号

1991年01月発行

文献概要

マスターしよう検査技術

抗ENA抗体の検出と同定法

著者: 長野百合子1 𠮷野谷定美1 大久保昭行1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.57 - P.62

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はじめに
 ENAはextractable nuclear antigensの略で,「可溶性核抗原」あるいは「抽出核抗原」といわれる.DNAやクロマチンに結合しているヒストンは酸で抽出できるのに比べ,ENAとして使われる非ヒストン蛋白質は生理食塩水やリン酸緩衝液で分離される,比較的核との結合力が弱い蛋白質と考えられる.またHMG(high-mobility group proteins)と解析されている.ポリアクリルアミドゲル電気泳動で移動度が高く,分子量が小さい蛋白質群に含まれる.等電点分析から酸性蛋白抗原nuclear acid protein antigen(NAPA)と塩基性蛋白抗原という分けかたもされる.
 抗ENA抗体は膠原病の患者に高頻度にみられる抗体である.その対応抗原のほとんどが核酸と蛋白質との複合体であることが知られ,粗抗原は組織細胞の核分画から抽出されるが,細胞質成分も含んでいると推測される.初めに抗ENA抗体検査の実際を示し,次に免疫拡散法(Ouchterlony法)と免疫ブロット法(Western blotting法)について述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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