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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻1号

1991年01月発行

文献概要

検査ファイル

項目●IV型コラゲン

著者: 中野博1 中林仁美1 辻井啓之1

所属機関: 1奈良県立医科大学病態検査

ページ範囲:P.76 - P.77

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 コラゲン(collagen)は多くは骨,軟骨,腱,皮膚,角膜などの結合組織に,一部は肝,肺,心などの臓器内結合組織に分布している.コラゲン蛋白は,構成アミノ酸のうちグリシンが1/3を,プロリン,ヒドロキシプロリンも1/10を占める特異なアミノ酸構成を持った3本のペプチド(α鎖)がラセン状により合わさった(ヘリックス)構造を持っている.またコラゲンは単一でなく,遺伝的に異なる12種のものがある.これらの12種のコラゲンはローマ数字でI型,II型,III型,IV型のように表現され,組織,臓器により異なる型のコラゲンが分布している.このうちI,III型は長く,丈夫な線維を作り,皮膚,腱,骨などに多い.一方,IV型コラゲンは基底膜に存在し,カルボキシル基末端側の球状のNC1,NC2領域,アミノ基末端の7S領域,および中間のヘリックスを作る四つの部分から構成され,コラゲン蛋白2分子のNC1部分同士の結合,4分子の7S領域が結合して図1に示すような網状の柔軟性に富む構造を持っている.組織のIV型コラゲンはプロテアーゼで分解され,血中では7S領域,NC1領域,ヘリックスを含む部分など多様な分解産物が存在すると考えられる.正常な肝臓にはIV型コラゲンは少量しか含まれないが,肝硬変では肝の類洞壁周囲の内皮細胞を中心にして基底膜が形成されることが形態学的に確認されている(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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