検査と技術19巻11号

1991年10月発行

検査法の基礎

血液凝固と抗凝固

著者： 鈴木宏治¹

所属機関： ¹三重大学医学部分子病態学講座

ページ範囲：P.911 - P.918

文献概要

サマリー
　血液凝固反応は，傷害組織からの出血を阻止するための生体防御反応の一つである．凝固反応では，主に傷害組織や，そこに粘着・凝集した血小板などの細胞上に凝固因子が集合し，多分子複合体を形成してフィブリン血栓が形成され止血する．他方，血管内には，多数の抗凝固因子が存在し，過度の凝固反応は制御調節されている．出血症や血栓症は，先天性あるいは後天性の原因による両反応系の過度のアンバランスによって生ずると考えられる．