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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻11号

1991年10月発行

文献概要

検査ファイル

用語●カットオフ値

著者: 大倉久直1

所属機関: 1国立がんセンター病院内科,臨床検査部がん反応検査室

ページ範囲:P.963 - P.965

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[1]カットオフ値とは
 臨床検査におけるカットオフ値とは,2つのグループ(通常は正常人と特定疾患群)を識別する目的で定めた,境界値または〔しきい(=閾)値〕のことをいい,個々の検査について,診断の明らかな多数のデータを元にして決められる.
 しかし,このしきい値は,分けようとする両グループの性格と,2群に分けることの背後にある「真の目的」によってさまざまに定められるので,常に正常値の境界を意味するわけではない.例えば,良性肝疾患と肝細胞癌を区別するには,AFPのカットオフ値を正常上界値の20ng/mlではなく,200ng/mlまたは400ng/mlに定めるほうが妥当とされている.しかし,カットオフ値をどのように決めても,少なからぬ例外ができるのが普通である.AFPの例では,400ng/mlを超える良性肝疾患も,またこれより低い値の肝細胞癌も多数あって,これらはそれぞれ偽陽性,偽陰性と呼ばれる.言い換えると,カットオフ値とは,ある範囲に一部重なり合って分布している2群を分別するために,最も適当と考えられる一点に恣意的に設定されるものだが,その設定目的と数理的根拠はさまざまで,絶対的なものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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