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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻12号

1991年11月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・11

アポリポ蛋白A-IとBのルーチン検査のための免疫比濁法

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.1076 - P.1077

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 アポリポ蛋白の生理的重要性と個体の粥状動脈硬化の危険因子としての評価への有用性が認識されて以来,アポリポ蛋白の測定に対する臨床的興味がしだいに増しつつある.さまざまな研究から,高比重リボ蛋白と低比重リボ蛋白のそれぞれの主要構成蛋白であるアポリポ蛋白A-IとBは冠動脈疾患を評価するうえで従来から用いられている総コレステロール,LDL-コレステロール,HDL-コレステロールや中性脂肪などの脂質よりも良好な血中指標であることを示している.今日では,アポA-I/アポB比は個々のリボ蛋白よりもさらに有効な指標であると考える研究者もいる.
 アポA-IとアポBの測定を研究機関ないし専門的な検査所から一般の臨床検査室へ広めることを容易にするため,われわれは測定が簡単でしかも信頼性のおける免疫比濁法を開発した.ポリエチレングリコール6000の存在下で免疫複合体が形成されることを利用して,長時間のインキュベーション,特別な装置あるいは熟練した人員などを必要とする従来の測定法にみられるような多くの技術的な障害を克服することができる.われわれがすでに報告してきたほかの諸方法と同様に,この測定法は特に日常的な測定に適している.すなわち,測定時間が短く(用手法で10〜15分,完全自動化法で5分),完全に乳び状の検体でもブランクを必要とせず,測定範囲が広く(いずれのアポリポ蛋白も0.2から3.5g/l),しかも,簡単に自動化できるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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