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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻13号

1991年12月発行

文献概要

検査ファイル

項目●抗ds-DNA抗体と抗ss-DNA抗体

著者: 高野愼1

所属機関: 1東京電力病院内科

ページ範囲:P.1156 - P.1158

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 抗DNA抗体は二本鎖DNA(ds-DNA)に対する抗体と,一本鎖DNA(ss-DNA)に対する抗体に分けられるが,抗ds-DNA抗体の大多数はds-DNA,ss-DNAいずれとも反応する.抗ds-DNA抗体はDNAの高次構造やデオキシリボース・リン酸骨格部分を認識し,抗ss-DNA抗体はDNA塩基配列を認識しているといわれている1).しかし抗DNA抗体には多様な交差反応性が知られており,本抗体の厳密な抗原認識部位に関してはいまだ不明な点が多い.
 抗DNA抗体の測定法には抗ds-DNA抗体のみの検出を目的に開発された方法と,ds-DNA,ss-DNAをそれぞれ抗原として用いることにより抗ds-DNA抗体,抗ss-DNA抗体を測定する方法がある.多数の検査法があるが,主なものでは前者にはCrithidia lucilliaeを用いた蛍光抗体法が2),また後者には硫酸アンモニウム(硫安)沈降法(Farr法),固相酵素免疫測定法(ELISA),受身血球凝集反応(PHA)などがある.抗ds-DNA抗体を測定する際には一本鎖部分を含まないds-DNAを抗原として用いることが重要である.このds-DNA調整はss-DNAに特異的なS1ヌクレアーゼ処理によりds-DNA中のss-DNA部分を削除した後,BNDC(benzonylated naphthoylated DEAE)カラムクロマトグラフィーにより行われることが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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