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用語●biological response modiflers(BRM)
著者: 曽根三郎1
所属機関: 1徳島大学医学部第三内科
ページ範囲:P.1162 - P.1163
文献購入ページに移動腫瘍免疫学研究の進展で,生体内での癌抵抗性機構(図)の詳細が明らかになるにつれ,その強化を図ることによる制癌の試みがなされるようなった1).
1970年代の初め,結核菌製剤を用いての悪性腫瘍治療が有効であるとの報告がなされて,その後,種々の細菌製剤ならびに植物性製剤,さらに合成性化学物質の開発へと進展し,癌に対する免疫療法あるいは免疫刺激療法の名のもとに,臨床効果が検討された.免疫療法の作用には宿主の抗癌エフェクター機構の強化と担癌宿主内で作動している免疫抑制機構の解除が中心であったが,それらの治療による延命効果は,当初期待したほどでないことが判明した.一方,癌の進展および退縮には癌抵抗性を担う免疫機構だけでなく,生体内の他のいろいろな細胞性ならびに液性因子が複雑に関与していることが明らかにされた.そこで,1983年に米国BRM小委員会により,宿主介在性の癌治療を免疫療法剤と限定せず,宿主の癌細胞に対する生物学的応答力を修飾させることによって,癌と宿主間の関係を変え治療的利益をもたらすような薬物または試みをbiological response modifiers(BRM)と定義した2).
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