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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻13号

1991年12月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・12

身体活動とインスリン非依存性糖尿病の発症頻度の減少

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.1174 - P.1176

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 20歳以上のアメリカ人の1千万人から1千2百万人がインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)にかかっている.この病気はインスリン抵抗性の増大とインスリンの分泌障害が特徴であり,さらに冠動脈性心疾患,末梢血管障害,腎不全および失明などの諸疾患の危険性を増大させる複雑な病態である.NIDDMの最も強い惹起因子は肥満と糖尿病の家族歴である.
 適切な食事療法と減量とともに,運動はNIDDMの管理に有効であると提唱されている.身体活動が糖尿病の予防に有効かどうかは知られていないが,いくつかの間接的な証拠は,身体活動の増加には予防的効果があるという考えを支持している.第一に,身体的に活動的な社会では非活動的な社会よりNIDDMが低率であり,そして,社会が身体的に非活動的になればなるほどNIDDMの発生頻度が増加する.第二に,身体活動により,インスリンに対する感受性が改善され,また,定期的に持続性運動をすることにより体重減少が促進され,耐糖能が改善される.第三に,さまざまな横断的研究において,身体活動の増加がNIDDMの発症率と反比例していることを示している.身体活動とNIDDMの発症との関係を理解することをより複雑にしているのは,高いレベルの身体活動は往々にしてとりわけ肥満といったような糖尿病のさまざまな危険因子の減少を伴っていることである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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