文献詳細
文献概要
生体のメカニズム・2
T細胞の分化と機能
著者: 伊藤忠一1
所属機関: 1岩手医科大学臨床検査医学
ページ範囲:P.159 - P.161
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T細胞は抗体産生細胞に分化するB細胞とともに免疫応答で主役を演ずる細胞である.したがって,T細胞分化の過程を理解することは,免疫機構の成り立ちを知るうえで基本的に重要であるばかりでなく,免疫不全症,自己免疫疾患あるいはリンパ増殖性疾患などの病態解析にも必須である.
T細胞はほかの血液細胞と同様,多能造血幹細胞(pluripotential stem cell)に由来する.この幹細胞を産生する臓器は胎生期にあっては卵黄嚢と肝であり,胎生後から生後にあっては脾および骨髄である.この多能造血幹細胞は分化のかなり早い時期に顆粒球系,リンパ球系,赤血球系および巨核球系幹細胞に分かれる.これらのうちリンパ球系幹細胞はさらに2系統に分かれて分化を続ける.すなわち,T細胞へ分化すべくプログラムを内蔵したT系幹細胞(pro T細胞,Tcell progenitor,prothymocyteなどとも呼ばれている)とB系幹細胞の2系統である.T系幹細胞はやがて胸腺に移住し,そこで胸腺基質細胞やそれらの分泌する一連の胸腺ホルモンの影響下で教育を受けて成熟T細胞まで分化を遂げ,リンパ組織など全身に広く配分される.しかし,全身に分布されるTリンパ球の数は総胸腺リンパ球のうちの数%にすぎず,残りはある段階で死滅してしまうらしい.せっかく分化増殖したリンパ球の大部分がなぜ死滅してしまうのか,その生物学的意味はまだ正確にわかっていない.
T細胞は抗体産生細胞に分化するB細胞とともに免疫応答で主役を演ずる細胞である.したがって,T細胞分化の過程を理解することは,免疫機構の成り立ちを知るうえで基本的に重要であるばかりでなく,免疫不全症,自己免疫疾患あるいはリンパ増殖性疾患などの病態解析にも必須である.
T細胞はほかの血液細胞と同様,多能造血幹細胞(pluripotential stem cell)に由来する.この幹細胞を産生する臓器は胎生期にあっては卵黄嚢と肝であり,胎生後から生後にあっては脾および骨髄である.この多能造血幹細胞は分化のかなり早い時期に顆粒球系,リンパ球系,赤血球系および巨核球系幹細胞に分かれる.これらのうちリンパ球系幹細胞はさらに2系統に分かれて分化を続ける.すなわち,T細胞へ分化すべくプログラムを内蔵したT系幹細胞(pro T細胞,Tcell progenitor,prothymocyteなどとも呼ばれている)とB系幹細胞の2系統である.T系幹細胞はやがて胸腺に移住し,そこで胸腺基質細胞やそれらの分泌する一連の胸腺ホルモンの影響下で教育を受けて成熟T細胞まで分化を遂げ,リンパ組織など全身に広く配分される.しかし,全身に分布されるTリンパ球の数は総胸腺リンパ球のうちの数%にすぎず,残りはある段階で死滅してしまうらしい.せっかく分化増殖したリンパ球の大部分がなぜ死滅してしまうのか,その生物学的意味はまだ正確にわかっていない.
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