icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻3号

1991年03月発行

文献概要

トピックス

スペクチノマイシン耐性淋菌

著者: 森田豊寿1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター中央検査部第三課

ページ範囲:P.253 - P.254

文献購入ページに移動
■淋菌の耐性獲得
 化学療法時代の今日における淋菌感染症の重要な問題点は各種抗生剤に対する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の耐性獲得である.ペニシリンが発見された当時の淋菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)は,0.03単位/ml以下であったとされ,最も感受性の高い細菌の一つであった.以降,染色体性の耐性によりMICは徐々に上昇して,0.4μg/ml以上のいわゆるペニシリン耐性の臨床分離株が多く検出されるようになった.
 1976年にペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)が発見された.この淋菌はβ-ラクタム環を開裂する酵素,β-ラクタマーゼを産生する遺伝子をコードするプラスミドを持ち,高度耐性が一挙に伝達されるために,短期間のうちに世界各国に広がった.最近の各国におけるPPNGの分離頻度は,米国で1%,フィリピン,タイ,シンガポールなどでは40〜50%,ケニア,ガーナでは30〜40%に達するといわれている.ペニシリンが用いられることの少ないわが国では,10%前後である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?