検査と技術19巻4号

1991年04月発行

技術講座 微生物

DNAプローブによる抗酸菌の同定

著者： 阿部千代治¹

所属機関： ¹（財）結核予防会結核研究所

ページ範囲：P.339 - P.343

サマリー
　抗酸菌は増殖の遅い菌で，一連の臨床細菌学的検査に数週間を要する．これまで抗酸菌症の迅速な診断，その後の正確な治療のために，迅速かつ簡便な同定法の早期の開発が望まれていた．近年の分子生物学的手法の発展により，従来の検査法では欠けていたこれらの点が少しずつ解決されるようになってきた．本稿ではMycobacterium tuberculosis complexおよびMycobacterium avium complex特異DNAプローブを用いた患者分離株の鑑別を中心に，抗酸菌のDNAによる同定法について紹介した．