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実験的潰瘍性大腸炎
著者: 岡安勲1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部病理部
ページ範囲:P.484 - P.485
文献購入ページに移動 潰瘍性大腸炎は原因不明の炎症性腸疾患であり,難病として厚生省の特定疾患に入れられている.また最近,わが国においても増加の傾向がみられていることから,注目されている疾患の一つである.この病因に関しては細菌やウイルスの感染および腸内細菌叢のバランスの崩れ,自己の大腸粘膜に対する自己免疫現象,感受性のあるヒトへの食物中の有害物質による粘膜障害など幾つかの可能性が挙げられているが,いずれも明らかな機序は示されていないのが実情である.
そこで,この病態を理解するためにはよい実験系が必要となってくる.潰瘍性大腸炎の動物実験モデルとしては英国のWattとMarcusが1969年にカラゲナンという海藻から採れる硫酸多糖類をモルモットやウサギに経口投与することにより急性の潰瘍性大腸炎類似の病変を誘導することに成功して以来1),この種の実験系が使われていたが2),再燃と寛解を繰り返すというヒトの慢性潰瘍性大腸炎の実験モデルがないために病態の把握が困難であった.
そこで,この病態を理解するためにはよい実験系が必要となってくる.潰瘍性大腸炎の動物実験モデルとしては英国のWattとMarcusが1969年にカラゲナンという海藻から採れる硫酸多糖類をモルモットやウサギに経口投与することにより急性の潰瘍性大腸炎類似の病変を誘導することに成功して以来1),この種の実験系が使われていたが2),再燃と寛解を繰り返すというヒトの慢性潰瘍性大腸炎の実験モデルがないために病態の把握が困難であった.
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