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わだい
エンドセリン
著者: 眞崎知生1
所属機関: 1京都大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.337 - P.338
文献購入ページに移動■合成・分泌のメカニズム
エンドセリン(ET)は,血管内皮細胞の産生する,強力な血管収縮ペプチドである.アミノ酸21個から成り,分子内に2個のジスルフィド結合を持つ.血管内に投与すると血圧上昇が起こり,長時間持続する.このことからETは血圧の維持に関係するのではないかと考えられている.ETの内皮細胞内における合成あるいは分泌が,他の血管活性物質,例えばアンギオテンシンIIやアルギニンバゾプレッシンなどによって調節されているらしいこともわかってきており,したがって内皮細胞内で同様に合成・分泌される内皮由来弛緩因子(EDRF)とともに,血管のトーヌス維持を局所的に調節するメカニズムがあるのではないかと考えられている.
さらに,内皮細胞内でETが合成される過程でビッグETと呼ばれる中間体が存在することが知られており,これが未知の変換酵素によってETとなると考えられている.ビッグETの血管収縮活性はETのそれに比して約100分の1と低いため,このビッグETからETへの変換は,アンギオテンシンの変換と同様に血管収縮活性発現に意味があると考えられている.したがって,この変換酵素の検索が精力的に行われているが,精製されたという報告はまだない.この変換酵素の抑制薬が発見されれば,アンギオテンシン変換酵素抑制薬と同様に臨床的に有用な薬物となる可能性がある.ET受容体の拮抗薬開発とともに現在多くの人が興味を持っている問題である.
エンドセリン(ET)は,血管内皮細胞の産生する,強力な血管収縮ペプチドである.アミノ酸21個から成り,分子内に2個のジスルフィド結合を持つ.血管内に投与すると血圧上昇が起こり,長時間持続する.このことからETは血圧の維持に関係するのではないかと考えられている.ETの内皮細胞内における合成あるいは分泌が,他の血管活性物質,例えばアンギオテンシンIIやアルギニンバゾプレッシンなどによって調節されているらしいこともわかってきており,したがって内皮細胞内で同様に合成・分泌される内皮由来弛緩因子(EDRF)とともに,血管のトーヌス維持を局所的に調節するメカニズムがあるのではないかと考えられている.
さらに,内皮細胞内でETが合成される過程でビッグETと呼ばれる中間体が存在することが知られており,これが未知の変換酵素によってETとなると考えられている.ビッグETの血管収縮活性はETのそれに比して約100分の1と低いため,このビッグETからETへの変換は,アンギオテンシンの変換と同様に血管収縮活性発現に意味があると考えられている.したがって,この変換酵素の検索が精力的に行われているが,精製されたという報告はまだない.この変換酵素の抑制薬が発見されれば,アンギオテンシン変換酵素抑制薬と同様に臨床的に有用な薬物となる可能性がある.ET受容体の拮抗薬開発とともに現在多くの人が興味を持っている問題である.
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