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わだい
組織因子と外因系凝固開始機構
著者: 宮田敏行1
所属機関: 1国立循環器病センター研究所脈管生理部血栓研究室
ページ範囲:P.351 - P.352
文献購入ページに移動■組織因子の作用と構造
組織因子(tissue factor;TF.組織トロンボプラスチンとも呼ばれる)は,外因系血液凝固反応を作動させる,生理的に重要な蛋白性コファクターである.TF自身ではプロテアーゼ活性を持たないが,血漿中の活性型第VII因子(F. VIIa)と1:1のモル比で複合体を形成することにより,F. VIIaによる第X因子(F. X)の活性化を促進し,最終的に凝固を引き起こす.
1987年,米国の三つのグループがTFをクローン化し,その全塩基配列を決定した.それによると,32残基の疎水性シグナルペプチドに続いて,成熟蛋白質は263残基のアミノ酸から成っていた.これを詳しくみると,219残基から成る細胞外ドメイン,23残基から成る膜貫通ドメイン,21残基から成る細胞内ドメインで構成されていた.一方,F. VIIはビタミンK依存性血漿蛋白質のセリンプロテアーゼ前駆体であり,ヒト血漿中では10nmol/l,ウシでは13nmol/lの濃度で存在する.活性型F. X(F. Xa)により活性される.F. VIIaは軽鎖(L鎖)と重鎖(H鎖)がジスルフィド結合でつながった二本鎖糖蛋白質で,軽鎖は分子のN末端側にあり,ヒトでは10個,ウシでは11個のγ-カルボキシグルタミン酸(γ-Gla)がある.このGla残基の生合成にはビタミンKが必要とされる.
組織因子(tissue factor;TF.組織トロンボプラスチンとも呼ばれる)は,外因系血液凝固反応を作動させる,生理的に重要な蛋白性コファクターである.TF自身ではプロテアーゼ活性を持たないが,血漿中の活性型第VII因子(F. VIIa)と1:1のモル比で複合体を形成することにより,F. VIIaによる第X因子(F. X)の活性化を促進し,最終的に凝固を引き起こす.
1987年,米国の三つのグループがTFをクローン化し,その全塩基配列を決定した.それによると,32残基の疎水性シグナルペプチドに続いて,成熟蛋白質は263残基のアミノ酸から成っていた.これを詳しくみると,219残基から成る細胞外ドメイン,23残基から成る膜貫通ドメイン,21残基から成る細胞内ドメインで構成されていた.一方,F. VIIはビタミンK依存性血漿蛋白質のセリンプロテアーゼ前駆体であり,ヒト血漿中では10nmol/l,ウシでは13nmol/lの濃度で存在する.活性型F. X(F. Xa)により活性される.F. VIIaは軽鎖(L鎖)と重鎖(H鎖)がジスルフィド結合でつながった二本鎖糖蛋白質で,軽鎖は分子のN末端側にあり,ヒトでは10個,ウシでは11個のγ-カルボキシグルタミン酸(γ-Gla)がある.このGla残基の生合成にはビタミンKが必要とされる.
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