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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻7号

1991年06月発行

文献概要

わだい

血管内皮機能

著者: 島田和幸1

所属機関: 1高知医科大学老年病科

ページ範囲:P.352 - P.353

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■抗血栓性機序
 血管機能の大きな特徴は,血液が血管内面に接触しても凝固しない,あるいは血小板がその表面で凝集,付着しないという,抗血栓,抗凝固性である.しかし,血管内面の破綻により,積極的に止血する機構が活性化される.血管,中でもじかに血液と接触する血管内皮細胞は,血中の各種凝固関連因子と相互に反応して,血栓止血機構の制御になくてはならない重要な役割を演じている.
 正常な血管内皮細胞が有する抗血栓性機序は,①強力な血小板凝集抑制因子であるプロスタサイクリン(PGI2)の産生・遊離②その表面に局在するトロンボモジュリン(トロンビン結合蛋白で,プロテインCを活性化して,活性化第V因子〔F.Va〕,活性化第VIII因子〔F.VIIIa〕などの凝固促進因子を不活化する),③細胞周囲,表面に存在するヘパリン様多糖類(アンチトロンビンIII〔ATIII〕を結合することにより,トロンビン,活性化第X因子〔F.Xa〕などの活性化凝固因子を不活化する),さらに④すでに生じた血栓を溶解させるプラスミノゲンアクチベーター(PA)の産生・遊離(線溶系を活性化)などによって,維持されていると考えられている.さらに,平滑筋弛緩作用が注目されている内皮由来弛緩因子(EDRF)は,血小板凝集を抑制する働きもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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