icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻9号

1991年08月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・8

健常者における対側腎切除に対する心房性Na利尿ホルモンおよび残存腎の適応

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.780 - P.781

文献購入ページに移動
 正常者においては,片腎切除後でも,代償性変化により水と電解質の恒常性(ホメオスターシス)を十分に維持することができる.この機能的適応の作用機序は実験系およびヒトにおける研究で明らかにされてきた.以前の研究でわれわれは,生体腎移植の健常提供者における腎切除後の尿細管および糸球体機能を検索した.腎切除後の最初の5日間以内に残存腎の糸球体濾過量が30%増加することがわかった.リチウムクリアランス法を用いることにより,初期には,この増加した濾過量の負荷は近位尿細管からより遠位のネフロンの部分へと移行することが示された.2〜4週以内に近位における液体の再吸収の増加が観察され,その結果,糸球体-尿細管バランスはほとんど正常化された.これらの代償性変化に寄与する因子は不明であるが,しかし血中Na利尿因子が関与しているかもしれないことは従来から示唆されていた.ANPはナトリウムと水の平衡化の維持に寄与していると考えられている.したがって,このホルモンの作用として,腎への直接効果によるナトリウム利尿作用およびレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系に対する調節作用が想定されてきた.われわれの知る限りでは,ANPが腎重量の急激な減少に対する機能的適応に関与していることに関する情報はない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?