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文献詳細

雑誌文献

検査と技術19巻9号

1991年08月発行

文献概要

検査データを考える

一次線溶と二次線溶

著者: 新谷憲治1 櫻川信男1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.782 - P.786

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はじめに
 生体は,出血に対して血小板およびフィブリン(fibrin)塊を形成して対応し,さらに血管内に形成された血栓を溶解して,血流を回復する機構を有している.後者は,線維素溶解(線溶)と呼ばれ,血栓を形成している重合したフィブリンが蛋白分解酵素であるプラスミン(plasmin)により分解され,消失していく現象と理解される.プラスミンは,血中で不活性型の前駆物質であるプラスミノゲン(plasminogen)として存在し,血管内皮細胞や白血球から放出されるプラスミノゲン・アクチベータ(plasminogen activators)により活性化され,プラスミンに転換される.
 このプラスミノゲンのプラスミン変換は,通常凝固系が働いて血栓が形成されたときに二次的に惹起され,二次線溶(secondary fibrinolysis)と呼ばれる.一方,血栓形成と無関係に,線溶療法のときのように血中でプラスミン・アクチベータが増加し,その結果,活性化されたプラスミンによりフィブリノゲン(fibrinogen)の溶解(fibrinogenolysis)が惹起される現象も知られており,二次線溶と区別して,一次線溶(primary fibrinolysis)と呼ばれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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