最近の検査技術
アフィニティー・クロマトグラフィー
著者:
藤井節郎1
新延道夫2
所属機関:
1徳島大医学部附属酵素研究施設酵素生理部門
2徳島大学院
ページ範囲:P.33 - P.40
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過去約20年の間に生体についての知識が目覚ましく進んだのには多くの要因が考えられるが,その中で特に重要なものとして2つあげることができる.1つは物理学の分野での新しい発見がすみやかに生化学や分子生物学の問題の解決のために応用された点をあげることができる.すなわち,電子顕微鏡,X線解析などの手段が生体構成成分の分子レベルでの解明に大きな役割を果たしたことでもわかる.もう1つは,生体構成成分の分離精製に関する方法技術の急速な発展である.いかなる物理的手法を用いたとしても,分析される試料が純粋でなかったら,得られた結果に対する解析も曖昧なものとなろう.これから述べようとするアフィニティー・クロマトグラフィーもまた,生体構成成分の分離精製に関する方法,技術の1つであり,1967年,J.Porath1)らによって球状アガロースが臭化シアンによって容易に活性化され,種々のアガロース置換体を合成できることが報告されて以来,数年の間に爆発的な規模で広まった方法である.ここでは本法の実際の手法を中心に述べ筆者らの経験,考察などを加えてみたい.