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文献詳細

雑誌文献

検査と技術2巻3号

1974年03月発行

文献概要

医学の進歩をになった人々

アレクサンダー・フレミング・3

著者: 中溝保三1

所属機関: 1都立荏原病院

ページ範囲:P.49 - P.51

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無視された霊薬
 フレミングはペニシリンを発見し,これを報告した.しかし彼が青カビからつかみ出したペニシリンの量はほんのわずかのもので,ときどき大学の患者の皮膚の化膿巣に応用する程度でしかなかった.彼はこの物質を治療面よりも,むしろ純細菌学的の目的に使用した.すなわち,2種か3種の細菌の混在している検査材料から特定の細菌を選び出すために,培地にペニシリンを加える方法を考案したのである.そして他の何人もペニシリンに積極的の興味を示さず経過しているうちに,プロントジルが画期的な化学療法剤として輝かしい脚光をあびることになってしまった.この薬剤は,レンサ球菌だけでなく,髄膜炎菌,肺炎双球菌,淋菌にも有効であることが明らかにされた.
 1935年のある日(ペニシリン発見後7年め)セント・メアリーズ病院の食堂で,フレミングは産婦人科医のダグラス・マックリオドから産褥熱に対するプロントジルの驚異的の効果の実験談を聞かされて,これに反論した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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