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技術講座 生化学
標準溶液の作り方
著者: 野本昭三1
所属機関: 1信州大病院中検
ページ範囲:P.60 - P.61
文献購入ページに移動しかしこれで済ましていてよいものだろうかということになると,私に"臨床化学とはどういうものか"を教えてくださったいく人かの先生がたの顔が今浮かんでくる.そのどなたもが,"現状がどうあろうとも,いざというときは自分で試薬を作り自分で標準液も作って問題を解決できるのが臨床検査技師であって,自分の使っている標準液を随時点検できる準備なしに,ただ市販の試薬を用いているのでは困るのではないか"とおっしゃる.
元来標準液を正しく作るにはそれ相当の知識と試薬,器具の準備と手数がかかるもので,それだけに時間と経費の点からは,きちんと規制されたところで作ったものを一般に分けることが合理的であるということで,国内でも,日本臨床病理学会試薬専門委員会で第一化学薬品に委嘱して標準液の製造発売を指導することが行われており,すでにアルブミン,p-アミノ馬尿酸,ビリルビン,コレステロール,クレアチニン,ブドウ糖尿酸,乳酸,ピルビン酸,p-ニトロフェノール,フェノール,チロジン,尿素,尿酸,ウロビリノゲンなどのほか,多数の無機物質の標準液が発売されているが,これらの比較的信頼度の高い製品についても,出荷時と使用時の間の変質の有無に関する点検は,状況に応じて各検査室の責任で行わなくてはならないわけである.それにこれらの標準液も臨床化学で必要な項目の全般には及んでいない.
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