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ひとこと
農村医学の立場から
著者: 若月俊一1
所属機関: 1佐久総合病院
ページ範囲:P.10 - P.11
文献購入ページに移動 私が今から30年前,東大からこの信州の山の中へ赴任してきた時は,大学教室の連中から"お前もいよいよ都落ちか"と言われたものだ.農村に行って働くことは大学から見れば軽蔑すべきことのようであった.
だが,どうして,農村にはいって農民の健康を守るための仕事をすることが,軽視されねばならぬのか,確かに農村は遅れており,農民は貧しい.だが,過労や貧困,それに文化や医療にめぐまれない農民のために働くことこそ,医の本質にそった仕事ではないのか.都会には,大学も大病院の施設も,そして偉い先生がたもたくさんいる.農村にはそれが少ない.山間,へき地となればなおさらである.だが,そういういわば"無医村"的環境に住む人たちのために,自分の技術を生かすことこそ,医のヒューマニズムというべきではなかろうか.私は自分のささやかな技術を,そのような農民の苦悩を解消するのに少しでもお役にたてることができれば本望と,真剣に考えた.
だが,どうして,農村にはいって農民の健康を守るための仕事をすることが,軽視されねばならぬのか,確かに農村は遅れており,農民は貧しい.だが,過労や貧困,それに文化や医療にめぐまれない農民のために働くことこそ,医の本質にそった仕事ではないのか.都会には,大学も大病院の施設も,そして偉い先生がたもたくさんいる.農村にはそれが少ない.山間,へき地となればなおさらである.だが,そういういわば"無医村"的環境に住む人たちのために,自分の技術を生かすことこそ,医のヒューマニズムというべきではなかろうか.私は自分のささやかな技術を,そのような農民の苦悩を解消するのに少しでもお役にたてることができれば本望と,真剣に考えた.
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